降臨賞応募作品自評

自分には飲み友達が一人居て、そいつと酒を飲むときは絶対に、『ああ、空から俺だけを好きになってくれる女の子が降ってこないかなあ』と挨拶代わりに愚痴ることにしている。
そんなクズが、こんなものを見せられて半泣きになってしまって、その時の感情(羞恥系)を起爆剤にして書いたのが上の作品だ。
記念すべき、初めてお外に出したmy小説。おめでとう、俺。ありがとう、俺。と、xxさん。鬼畜。


で、my評。と言う名の自分語り。と言う名の予防線。
正直なところ、自分はこの拙作が大層お気に入りだ。
と、言うのは、自分は降臨賞に参加しようと決めたとき、「よし、自分的に萌える女の子を書こう」と思っていた。実際にそのつもりで書いた。俺の中の、空から降ってくる女の子を取り戻す!そういう気概だった。
それなのに、書き上げたものを改めて読んでみると、出来上がったのは「確かに空から女の子は降ってくる。だけど、お前ごとき薄っぺらな藁の家に降ってきた女の子を捕まえておけるわけねえだろ、ピヨピヨ」と言う話だった。(『僕』はもちろん自分自身のアバターであることを、念のため注記しておく)


少なくとも自分は読み直してそういう話だと思ったし、書いている最中は本気で自覚が無かった。前々から、自分は己の文章力の7割方を自分を傷つけることと予防線をはることのために使っているとは気づいていたが、まさか無自覚のうちにセルフDISまでかませるように成長していたとは。


当初、この話には「『僕』もトランポリンを使って成層圏にいる佳代子を追いかけていく」と言う続きがあった。「女の子が降ってくるのを待ってるんじゃなくて、自分から空にハンティングしにいくようなアグレッシブさが欲しいよね」とかそんなオチを考えていたのだ。だが、佳代子が成層圏まで行った時点で、唐突に書く気力が失せて没にした。字数がオーバーしていることも理由ではあったが(どっちにしろ1500字だけど)、読み終わってからその本当の理由を知った。自分が本当に自分に伝えてあげたかったテーマは、「お前は這え。あの子は飛ぶ」だったのだ。自分を傷つけるのはこんなにも楽しい。自分を傷つける=自分をファッコ=マスターベクション。


と、言うわけで、降臨賞は小説を書くと言う娯楽の楽しさを思い出したと言う点で、本当に有意義なイベントだった。この感情を、この賞に何かしら心を傾けた多くの方々に「ありがとう」と言う言葉で伝えたい。と思う。